ニケ氏のノベルゲーム「キミが消えてしまう前に」をプレイしました。
ゲームの主人公は、とある事情で通っていた高校を転入する事になった、アキトという名前の少年です。早速転入先の高校へと登校したものの、何故か闇夜に包まれた廃校に迷い込んでしまい、しかもそこには未練を抱えた少女の幽霊達が棲み着いていました。そして、幽霊の一人である少女のナノから、アキトは彼女達のの成仏をサポートする事を頼まれますが・・・。
この作品は、トゥルーエンドまで辿り着いた上で感想を書かせて頂きますが、「真っ当さ」がストーリーを支えていると思いました。 今日、創作において世の中の理不尽さや不条理さをただ強調し、そこに対する正義や問題提起が必ずしも作用しない事を逆手に取り、「事実」と称して根無し草のような傍観を好む風潮があると感じています。
ですが、「キミが消えてしまう前に」は善人が報われない事を「正しさ」や「現実」といった言葉で矮小化して思考放棄していません。社会や他者に対して良き作用をもたらそうとと努力する事は、例え世の中を完全に改善する事はできなくとも、正義や良識を持つ事自体が報酬(これは、山本 弘氏の『神は沈黙せず』でも書かれていましたね)であるし、 相手に死んでほしくないと思わせるぐらい愛される、重要な作用だってあるはずです。だから・・・私は何か、フランク・キャプラ氏が監督した「素晴らしき哉、人生!」とか「オペラハット」とかいった映画を思い出したんですが・・・。
そして・・・特に登場キャラクターの一人である、ホネくんを演じられた声優の、エンジェル有林プリンシパリティ氏の演技は、すごく上手かったです。ホネくんの陽気さを、無駄に声を張る事なく、絶妙な声の据わり具合で表現されていたので、そのキャラクター性にグイグイと引っ込まれました。すみません・・・これは他の声優さんがダメって事じゃなく、イロハも結構好みだったりします・・・。ああいう芯の通った大人性のあるキャラクターと、あと髪の長いキャラが好みだったりするので・・・。
ここまでいろいろ書いちゃいましたが、ちょっと以下では本作で引っかかる事が正直あったので、敢えて書きたいと思います・・・。
仮に、生前の舞台が2010年以前とすれば、スマホはまだそこまで普及していなかったし、LINEも2011年からサービス開始なので、ちょっと時代考証の部分が・・・と思いました・・・。
そして・・・もっと重要だと思ったのは、「あの辺り」における描写です。「あの辺り」に対する苦悩、それから当事者に対する悪意や差別意識は、単なるいじめではなく、これまでの歴史的背景や社会の構造という深刻かつ複雑な背景が積み上げられており、「あの辺り」を加害と被害の関係として表現するのなら、現実性に基づいたストーリー展開やキャラクター造形が「線」としてある程度は欲しいと感じました。
だからこそ、本作では「あの辺り」に基づく悲劇が、ライト寄りの萌えみたいな「点」からの想像でしか機能していない所は否めない・・・と正直思いました・・・。
着眼点が着眼点だけに・・・ちょっとかなり感じる部分があったので・・・。