最近、ネットで自衛隊の兵器、つまり戦車や戦艦、戦闘機などを「かっこいいぞ!」というタイトルで紹介している図鑑を知りました。まぁ、そこら辺の話ですが、子供向けの乗り物図鑑には高い確率で兵器が掲載されている場合がありますが、大体事務的な紹介に留まっていました。殆どスペックと簡潔で形容を排した説明・・・みたいな感じでしょうか。それがまともな紹介の仕方だと思います。児童書なら尚更・・・という感じでしょうか・・・。
そして、ちょっと前にも子供向けの乗り物図鑑にも自衛隊の兵器が掲載されており、某団体が抗議して増刷が中止になるという事がありましたが、寧ろこっちのほうに抗議すべじゃ・・・と正直思っています。あれだって、単なる紹介に留まっていたと思うので・・・。
子供が兵器を見て「かっこいい」と思うのは仕方が無いのかもしれません。その心理は否定しようがないです。私だってそういうゲームを数多くやってるし、そういう絵だって沢山描いてますから。子供の時は「ワールド・タンク・ミュージアム」という食玩も買いあさってましたし。
ですが、提供する側が自ら自衛隊の兵器を「かっこいい」と紹介するのはどうなのか?と思います。しかも、児童書という媒体で・・・。
災害による非常事態は経験していても、他国による侵略(戦争)をあまり経験していない日本だからそうなるのかもしれませんが、もし何かあれば、その切っ先が自分にも向けられるという危機感が足りない言葉だと感じます。まぁ、ロシアのウクライナ侵攻においても、「キエフの幽霊」とか「エースコンバット」みたいな受容の仕方が、SNS上では蔓延してますし・・・。
で、ここで思い出したのはやはり高橋 邦典氏のフォト絵本『ぼくの見た戦争:2003年イラク』です。内容がかなり生々しく、はっきりいって子供に推奨はできないものですが、「かっこいい」とされる(イラク軍・アメリカ軍双方の)兵士がバグダッドに近づく内にどんどん死体になっていき、「かっこいい」とされる兵器が社会の秩序を破壊し、醜い人間の本性を暴き出していく様子は、ああした「点」でしか見ていない兵器の現実を、それが一旦行使されたらどうなるのかという「線」という部分を容赦なく写し出していると思います。
だからこそ、一番印象に残っているのは血なまぐさい写真ではなく、バグダッドの大通りを走行する戦車の前を、テレビを略奪し、台車に乗せた市民が何食わぬ顔で通り過ぎていく写真です。ひとたび戦争が始まれば、社会はこういう風になるという事を、一番生々しく伝えているシーンであり、もし日本で兵器が実戦で行使される事があれば、こういう事も十分にあり得るというのは理解しておいた方がいいでしょう。上の方で『ぼくの見た戦争:2003年イラク』は子供に推奨できないとは書きましたが、自衛隊の兵器を「かっこいいぞ!」という(礼賛じみた)言葉で紹介する子供向け図鑑を見ると、「ああいう絵本が無ければ、分別はつかないんじゃない?」という思いも正直あります・・・。
