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2019年5月29日水曜日

デッドマン・ウォーキングを観ました。

死刑制度の是非を問う、実話をもとにした映画『デッドマン・ウォーキング』を観ました。内容は、ひょんなことから死刑囚のマシューから手紙が届いたシスター・ヘレンが、その死を見守ることになり、ヘレンとの交流のうちに、極悪非道だった男の内面にも変化が芽生え始め・・・・・・といったものですが、何というのか・・・・・・凄まじいです。俳優さんの演技がみな淡々として抑制されている分、殺人事件に巻き込まれた人たちの怨嗟の念というものが生々しく伝わってくる作品でした。
特に印象に残ったのは、殺人犯のマシューの母親のシーンです。息子があんなことをしたばっかりに、母親は家族もろともいじめや悪意にさらされます。何の落ち度もないのに、息子が森の中でカップルをレイプの末に惨殺、挙句の果てにはヒトラー礼賛や人種差別的な発言を繰り返していたら、そりゃ「どうして?」とずっと自問自答してしまうよなーと感じました。
ですが、加害者側ばかりではなく、きちんと被害者遺族にもスポットライトがきちんと当たっています。特にマシューの味方になったヘレンは当然「敵」として認定され、遺族の家に向かったヘレンが容赦ない言葉を浴びせられるシーンは、本作でもマシューのお母さんの苦悩と同じくらいインパクトがありました。
本作は死刑制度の是非と問うという内容ですが、それは建前で、死刑を票集めのパフォーマンスとして利用する州知事や、「ケダモノ」と称された男に必死で向き合うヘレン、被害者遺族・加害者家族の苦悩や怒りなどを漢方薬のように煮詰めて「人を殺すと、いったいどうなるのか?」を生々しく描き出した作品だと感じました。

2019年5月28日火曜日

昭和オトメ御伽話を読みました。

大正時代のラブストーリーを描いた『大正処女御伽話』の続編『昭和オトメ御伽話』を読みました。いまもここで連載されてるエピソードを読んでいるのですが、前作で主人公の絆を阻む悪役として登場した珠代さんが、また恐ろしい存在感を放っています。
美人(しかもどっか官能的)なのに行動や言動が異常でぶっ飛んでる様はなんか、性格俳優の怪演を見ているようで強烈です。
このシリーズでは夕月ちゃんや常世ちゃんがプッシュされていると思いますが、映画でもゲイリー・オールドマン氏やウィレム・デフォー氏の演じる怪しそうな悪役に惹かれているからでしょうか、私は珠代さん推しなのです。
それに、すごい金持ってそうだからかなあ(爆)

あ、それと本作の舞台になっている神戸は学生時代によくいった街です。本作を読んでいるとまた、神戸に行きたくなったなあ・・・・・・。ということで、下にいつか行った神戸の写真を貼っておきました。内容と全然関係ありませんが(汗)

2019年5月23日木曜日

戦これー戦闘少女これくしょんー


2119年3月、衝撃的なニュースが世界中に流れた。
某先進国で、富裕層が重度障害者を買い取ったうえでサイボーグに改造し、トーナメントとして殺し合いをさせる会員制のゲームが運営されていたというのだ。
この社会に秘密裏に存在していたゲームは、関係者の内部告発で初めて世に存在を知られることとなり、直ちに警察による捜査が行われた。
後に裁判の被告人になった運営組織の幹部や医療技術者、そして会員たちからは反省の言葉は聞かれず、むしろ開き直るような態度を見せるものが多かった。
「不幸な障害者を社会の役に立てるようにした自分たちの行為は、社会科学的に正しい面がある。きれい事ばかりいっているあなたたちには、全くわからないだろう」
「障害者を持つというという不幸に負担に苛まれる、保護者の人生の質を向上させるために、私たちはまたとない社会貢献をした」
だが、本当に恐ろしいのはここからである。
死刑判決を受けた被告人がいるにも関わらず、国外でも彼らに同調する人間が少なからずおり、犠牲者のファンアートやコミックがネットでたくさん制作されているということだ。私たちにできることは、せめての抵抗として、こうした思想に最大限の歯止めをかけていくことだけだろう。


I'm not your toy,FUCK YOU.


―S子さん、私は今までクラスのみんなと一緒にあなたに酷いいじめを行ってきました。
理由は御存じの通り、あなたのお祖父さんが事故を起こしたことで、誰が言い始めたのかこちらの責任が色々とごまかされたまま始まったバッシングに、考えもせずに乗ってしまったのが原因です。
ええ、私は週刊誌やネットなど、周りの大人たちが事故に対してにいうことと同じくらいの酷い言葉をあなたに何度もぶつけました。やったほうは抗弁しにくく、やられた側、つまり正義の側についている限りは、勝てる勝負がいつまでもできる。
正直にいうと、義憤ばかりではなく、面白かったとさえ感じていました。だからいじめになったのでしょう。そしてあなたが学校に来れなくなったとき、みんなで拍手喝采をしました。
こんな卑劣なパワーバランスの頂点にいつまでも立てる権利が保障されていると、あの時の私は単純にもそう思い込んでいました。だから、あなたが学校を去る際に黒板に残した文字の意味も理解できなかったのでしょう。「I'm not your toy,FUCK YOU.」

でも、高校に進学した今は違います。私の高校を経営する学校法人が、九州に大学のキャンパスを新設する際に、以前から知り合いだった内閣総理大臣との口利きがあったのではないかという疑いから、今や政界を揺るがすスキャンダルに発展していることはわかると思います。そして、どこから調べたのかはわかりませんが、私の高校の画像もネットでさらされ、とあるスポーツ新聞ではかなり酷いことを書かれていました。ある時は、それよりもっと酷い言葉をネット上で見たことがあります。これを見て、初めて痛いということはこういうことなのだと気がついたのです。
決してこれは告解のつもりではありません。私のやってきたことが告白して許されることだとは絶対に思えないのです。S子さん、あなたにはこんな目にあって初めて、人の痛みが理解できる自分の馬鹿さ加減を笑ってほしかった。こんな弱虫だった自分を笑ってほしかった。
今も問題に便乗した誹謗中傷は続いていますが、きちんと逃げずに、あなたがあの時何を感じてきたのか、ずっと勉強していきたいのです。

2019年5月22日水曜日

Fury liquid


去年、『多摩川ヒルズ族の妄想な日常』という小説が出版された。
内容は、貧困家庭の子供たちやその親、生活保護受給者やホームレスが意図的にそうした生活を営んでいるものとして、面白おかしくギャグを交えて描いたもので、この間はドラマ化もされていた。要するに、そうした生活を実際に見ていない人間にとって、私たちは「下流生活を送るクズ人間の集まり」で「普通の小説とケータイ小説の違いもわからないおサル」らしい。著者の公式サイトでも、こうした見解はむしろ、社会問題を理解する上でのユーモアだと公言していた。
「社会問題を理解するにはユーモアが必要です。社会のお荷物とされる彼らにも、我々普通の人間が持っていないユニークな一面があると思ったのが、本作の執筆の動機です」

この十三年の間、私たちはこうした人間にいわれるがままに甘んじていた。でも、今では彼らが何をいっているのかわからせる力を手に入れている。

2019年5月21日火曜日

個展『ハルシネーション!!』終了のお知らせです。

本日、皆様のおかげで、無事に横川創苑様にて開催させて頂いていた個展『ハルシネーション!!』が終了いたしました。
この度はお忙しいにもかかわらず、本展にお越しくださり、お励ましのお言葉をお送りくださり、拙作をお買い上げくださったお客様や、御多忙中にも拘らず様々なお手伝いを頂いたオーナーの平石もも様に心からのお礼を申し上げます。
今回経験いたしたことを礎に、よりよい制作をしていきたいと思います。

Self destruct

ある時、製菓会社を経営している私の祖父が、賞味期限切れのチョコレートを販売していたことがわかった。記者会見では祖父は不誠実な対応をし、そこから「ゴマカシ」という言葉が流行語大賞に選ばれ、遊び半分で何も考えずにゴマカシという言葉を使う人を街でも、本でもよく見かけるようになった。
それから、祖父だけではなく、どこから情報を仕入れたのだろうか、血縁者であるとわかった私にも車から卵が投げつけられたり、家に落書きがされるようになった。「これが皆さんに毒入りチョコレートを食わせた糞ジジイの孫です!住所も特定したので拡散希望!ゴマカシを許すな!!#○○食品」という内容のツイートも沢山TL上を流れるようになった。
こうして、祖父のやったことに家族が全員巻き込まれる形で私の将来の計画は崩壊した。
でも、ひとつだけ思うことがある。「なぜ、私がやったことではないのに私が責められなければならないのか?」と。「なぜ、祖父の言葉を流行語大賞に選ぶ必要があるのか?」と。

2019年5月20日月曜日

『おやすみの歌が消えて』を読みました。

明らかにサンディフック小学校の銃乱射事件を題材にした『おやすみの歌が消えて』を読みました。ストーリーは銃乱射事件で兄をなくした6歳の少年、ザックの視点で進んでいくのですが、事件のショックで逆に鈍感になってしまうお父さん、そんなふがいないお父さんに怒りを募らせていくお母さん、お兄さんの死という事件の爪痕に翻弄されるザックの様子が丁寧に描かれています。犯人も自殺しているため、怒りの行き場を失った母親は、加害者の両親を訴えることにするのですが・・・・・・。
特に、物語後半でお母さんがキレて家を出ていく様は、女性の視点がすごく出ていると思いました。やっぱり、どんな事情であれ人を殺してはいけんということがよくわかる作品でした。

ガイジって何ですか?


「お前、絶対ガイジだろ?」隣のクラスの男子にそういわれたとき、私は11年の人生で初めて他人を殴っていた。彼は鼻から血を噴き出して倒れ、床には乳歯が転がっていた。
ガイジだろうが何だろうが、私は望んで三眼症になったわけではないし、世の中にはこうした差別が存在することも知っている。
でも、殴られることで相手がどう考えているかが分かり、その分私のような人間が被害にあう確率も少なくなる・・・・・・そんな確信をふと抱いた。

2019年5月17日金曜日

個展『ハルシネーション!!』の報告です。

現在、横川創苑様にて個展『ハルシネーション!!』を開催させて頂いております。
今回は出展させて頂いた拙作は少なめでかつデリケートな表現もございますが、その分力を入れました。↓全体図です。

 多分問題だろう手前の作品↓。たしかにあの事件は衝撃的だったけど、人を殺めるような犯罪者はそれだけの存在だと思います。洗脳とかいろいろ持ちたい興味はあるかもしれんけど、玩具にしちゃいけんです。


2019年5月16日木曜日

◎Solid Otome Atrocity


ピーター・トライアス氏のUSJシリーズの新作『サイバー・ショーグン・レボリューション』が刊行されるとのことで、ファンアートを制作いたしました。本作のメカは、わたぬき級麻琴号といい、私の脳内のメカの名前の由来は、ほとんどがとある漫画の登場人物からです(笑)

2019年5月15日水曜日

アルマゲドンを観ました。

『ディープ・インパクト』とほとんど同じ時期に公開され、地球に接近する彗星、プロフェッショナルによって埋め込まれる核弾頭、最終的に主人公達の自己犠牲でなんとか救われる地球という似通ったストーリーで、論争を巻き起こした『アルマゲドン』を観ました。
自分としては登場する特殊車両のアルマジロがカッコよく、おバカ(特にスティーブ・ブシェミ氏)なコメディ要素もあるのでアルマゲドンの方が好きかもしれないです。まあ、科学考証がないという批判もあるのですが・・・・・・。
でも、自分としてはどっちもいいと思います。要は好きなものを選べばいいということなんで。
稚拙な言葉なんですが、硬派なヒューマンドラマに感動したければ、『ディープ・インパクト』、そして監督のマイケル・ベイ氏の爆発でスッキリしたければ『アルマゲドン』ということでいいんじゃないでしょうか?

2019年5月7日火曜日

ダーク・ウォーターを観ました。

離婚調停中の母娘が、引っ越し先のマンションで恐怖に見舞われる映画『仄暗い水の底から』をハリウッドでリメイクした『ダーク・ウォーター』を観ました。
本作は舞台を日本からNYに移し、やはり市街地の離れにある陰気な雰囲気のアパートで、母娘が姿の見えない何かにじわじわを追い詰められていく様が描かれています。
ですが、主人公の母親や少女も原作と比べるとおどおどした感じはなく、ズバズバと本音をいいますし、姿がぼかされがちだった少女の亡霊ですらも姿を現して、はっきりと女の子と会話します。稲川淳二氏の本で、「ホラーと怪談は違う、ホラーは海外のもので、怪談は日本人の風習や歴史などが絡んでるんだ」という趣旨の主張を見た覚えがあるのですが、やはりこれがホラーと怪談の違いなのだろうかと思いました。

2019年5月6日月曜日

妻、ロボットになる。

村田椰融氏の『妻、小学生になる。』という漫画を読んでいる時、(本筋とはかなり乖離した発想で恐縮ながら)もし転生先がロボットとか、機械だったらどうなるんだろうか?と、ふと変な不安を感じたのが本作を制作するきっかけになりました。
なんか最近、人間の精神や意識を機械に転送したらどんな感じなのか、体が機械になったことにメリットを見出す人とかいるんだろうかとか、そういう想像をすることがよくあるので・・・・・・。