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2019年5月23日木曜日

戦これー戦闘少女これくしょんー


2119年3月、衝撃的なニュースが世界中に流れた。
某先進国で、富裕層が重度障害者を買い取ったうえでサイボーグに改造し、トーナメントとして殺し合いをさせる会員制のゲームが運営されていたというのだ。
この社会に秘密裏に存在していたゲームは、関係者の内部告発で初めて世に存在を知られることとなり、直ちに警察による捜査が行われた。
後に裁判の被告人になった運営組織の幹部や医療技術者、そして会員たちからは反省の言葉は聞かれず、むしろ開き直るような態度を見せるものが多かった。
「不幸な障害者を社会の役に立てるようにした自分たちの行為は、社会科学的に正しい面がある。きれい事ばかりいっているあなたたちには、全くわからないだろう」
「障害者を持つというという不幸に負担に苛まれる、保護者の人生の質を向上させるために、私たちはまたとない社会貢献をした」
だが、本当に恐ろしいのはここからである。
死刑判決を受けた被告人がいるにも関わらず、国外でも彼らに同調する人間が少なからずおり、犠牲者のファンアートやコミックがネットでたくさん制作されているということだ。私たちにできることは、せめての抵抗として、こうした思想に最大限の歯止めをかけていくことだけだろう。


I'm not your toy,FUCK YOU.


―S子さん、私は今までクラスのみんなと一緒にあなたに酷いいじめを行ってきました。
理由は御存じの通り、あなたのお祖父さんが事故を起こしたことで、誰が言い始めたのかこちらの責任が色々とごまかされたまま始まったバッシングに、考えもせずに乗ってしまったのが原因です。
ええ、私は週刊誌やネットなど、周りの大人たちが事故に対してにいうことと同じくらいの酷い言葉をあなたに何度もぶつけました。やったほうは抗弁しにくく、やられた側、つまり正義の側についている限りは、勝てる勝負がいつまでもできる。
正直にいうと、義憤ばかりではなく、面白かったとさえ感じていました。だからいじめになったのでしょう。そしてあなたが学校に来れなくなったとき、みんなで拍手喝采をしました。
こんな卑劣なパワーバランスの頂点にいつまでも立てる権利が保障されていると、あの時の私は単純にもそう思い込んでいました。だから、あなたが学校を去る際に黒板に残した文字の意味も理解できなかったのでしょう。「I'm not your toy,FUCK YOU.」

でも、高校に進学した今は違います。私の高校を経営する学校法人が、九州に大学のキャンパスを新設する際に、以前から知り合いだった内閣総理大臣との口利きがあったのではないかという疑いから、今や政界を揺るがすスキャンダルに発展していることはわかると思います。そして、どこから調べたのかはわかりませんが、私の高校の画像もネットでさらされ、とあるスポーツ新聞ではかなり酷いことを書かれていました。ある時は、それよりもっと酷い言葉をネット上で見たことがあります。これを見て、初めて痛いということはこういうことなのだと気がついたのです。
決してこれは告解のつもりではありません。私のやってきたことが告白して許されることだとは絶対に思えないのです。S子さん、あなたにはこんな目にあって初めて、人の痛みが理解できる自分の馬鹿さ加減を笑ってほしかった。こんな弱虫だった自分を笑ってほしかった。
今も問題に便乗した誹謗中傷は続いていますが、きちんと逃げずに、あなたがあの時何を感じてきたのか、ずっと勉強していきたいのです。

2019年5月22日水曜日

Fury liquid


去年、『多摩川ヒルズ族の妄想な日常』というミステリ作家の小説が出版された。
内容は、貧困家庭の子供たちやその親、生活保護受給者やホームレスが意図的にそうした生活を営んでいるものとして、面白おかしくギャグを交えて描いたもので、この間はドラマ化もされていた。要するに、そうした生活を実際に見ていない人間にとって、私たちは「下流生活に甘んじるクズ人間の集まり」で「芥川龍之介とケータイ小説の違いもわからないおサル」らしい。著者の公式サイトでも、こうした見解はむしろ、社会問題を理解する上でのユーモアだと公言していた。
「社会問題を理解するにはユーモアが必要です。社会のお荷物とされる彼らにも、我々普通の人間が持っていないユニークな一面があると思ったのが、本作の執筆の動機です」

この十三年の間、私たちはこうした人間にいわれるがままに甘んじていた。でも、今では彼らが何をいっているのかわからせる力を手に入れている。

2019年5月21日火曜日

個展『ハルシネーション!!』終了のお知らせです。

本日、皆様のおかげで、無事に横川創苑様にて開催させて頂いていた個展『ハルシネーション!!』が終了いたしました。
この度はお忙しいにもかかわらず、本展にお越しくださり、お励ましのお言葉をお送りくださり、拙作をお買い上げくださったお客様や、御多忙中にも拘らず様々なお手伝いを頂いたオーナーの平石もも様に心からのお礼を申し上げます。
今回経験いたしたことを礎に、よりよい制作をしていきたいと思います。

Self destruct

ある時、製菓会社を経営している私の祖父が、賞味期限切れのチョコレートを販売していたことがわかった。記者会見では祖父は不誠実な対応をし、そこから「ゴマカシ」という言葉が流行語大賞に選ばれ、遊び半分で何も考えずにゴマカシという言葉を使う人を街でも、本でもよく見かけるようになった。
それから、祖父だけではなく、どこから情報を仕入れたのだろうか、血縁者であるとわかった私にも車から卵が投げつけられたり、家に落書きがされるようになった。「これが皆さんに毒入りチョコレートを食わせた糞ジジイの孫です!住所も特定したので拡散希望!ゴマカシを許すな!!#○○食品」という内容のツイートも沢山TL上を流れるようになった。
こうして、祖父のやったことに家族が全員巻き込まれる形で私の将来の計画は崩壊した。
でも、ひとつだけ思うことがある。「なぜ、私がやったことではないのに私が責められなければならないのか?」と。「なぜ、祖父の言葉を流行語大賞に選ぶ必要があるのか?」と。

2019年5月20日月曜日

『おやすみの歌が消えて』を読みました。

明らかにサンディフック小学校の銃乱射事件を題材にした『おやすみの歌が消えて』を読みました。ストーリーは銃乱射事件で兄をなくした6歳の少年、ザックの視点で進んでいくのですが、事件のショックで逆に鈍感になってしまうお父さん、そんなふがいないお父さんに怒りを募らせていくお母さん、お兄さんの死という事件の爪痕に翻弄されるザックの様子が丁寧に描かれています。犯人も自殺しているため、怒りの行き場を失った母親は、加害者の両親を訴えることにするのですが・・・・・・。
特に、物語後半でお母さんがキレて家を出ていく様は、女性の視点がすごく出ていると思いました。やっぱり、どんな事情であれ人を殺してはいけんということがよくわかる作品でした。

ガイジって何ですか?


「お前、絶対ガイジだろ?」隣のクラスの男子にそういわれたとき、私は11年の人生で初めて他人を殴っていた。彼は鼻から血を噴き出して倒れ、床には乳歯が転がっていた。
ガイジだろうが何だろうが、私は望んで三眼症になったわけではないし、世の中にはこうした差別が存在することも知っている。
でも、殴られることで相手がどう考えているかが分かり、その分私のような人間が被害にあう確率も少なくなる・・・・・・そんな確信をふと抱いた。