あの時、いとこは同級生に殺された。私は怒りと復讐の念に苛まれながらここまで生きてきた。加害者は児童自立支援施設に入れられて、更生教育を受けているという。
大学の授業がおわり、キャンパスを出て地下鉄の駅に行こうとしたとき、とある少女の姿を見つけた。ひょっとして人違いだったのだろうか?いや、もしかすると・・・・・。私はその時、体の力が抜けてがっくりと地面にひざをついた。
「大丈夫ですか?」
あわてて、近くを歩いていたサラリーマンが私を抱き起してくれた。彼の腕の中で私はずっとうわごとのようにくりかえしていた。
「あの女・・・・・・あの女がいたんです・・・・・・」