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2025年10月13日月曜日

『11歳のバースデー』シリーズを読みました。

 井上 林子氏の児童書『11歳のバースデー』シリーズを読みました。それと、最近(本シリーズのイラストを担当された)イシヤマアズサ氏の絵もかなり好きになっていたので・・・。

まぁ、11歳のバースデー繋がりで、こういうのを思い出しました。で、それはそれで、 5巻の中で5人分の子供が、11歳をどう迎えるかが結構丁寧な心理描写と共に描かれているわけですが、私が注目したのは悪ガキの位地知 一也と、キツそうな体育会系の(サブキャラですが)飛田 瑠花です。実際に、いじめの加害者が変わるなんて事はそうそうなく、被害者が逃げなければいけないのが現状です。ですが、それでも人を害することでしか寂しさを表明できなかった一也が、他者を助ける事で変わっていく過程には思わず井上氏の説得力を感じました。

それと・・・瑠花ですが、イチロー氏は「指導する側が厳しくできない」というような事をぼやいていたと思いますが、瑠花はそれを体現する人間だと思います。自分がダンスや運動でできる分、※運動会におけるリレーの練習で他者にきつく当たるのですが、ダンスバトルで負けて号泣する所を、自分が(運動神経が鈍いせいで)最もつらく当たっていた四季 和也に見られてしまいます。ここら辺もかなり秀逸なすれ違いと理解が描かれています。デキると思っていた自分が負けた瞬間・・・クリエイティブな仕事は、東大受験よりも倍率が高いといわれている中、頑張った結果を思い知らされるのはどんな気持ちでしょうか・・・。しかも、瑠花はこの年で自分のせいだと認識してるのが凄いと思いました。

ですが・・・ちょっと問題点を感じたのも確かです。シリーズの2巻で、おませな少女の夏木 アンナが取り上げられていますが、アンナが掃除当番をさぼる女子達(それが瑠花達だったりするのですが)に怒りを内心で表明するシーンで、「あんたたちなんか、将来ゴミやしきに住め!」(35P)という言葉があるのですが、ちょっとそれはどうかね・・・と感じました。

実際問題、私が過去に「いきなり!黄金伝説。」みたいなTV番組でゴミ屋敷の処理と住人の痛切な思いを見ているからでしょうか、何かアンナの思いというのが「ゴミ屋敷」という社会問題に対する差別としてかなり機能してるんじゃ・・・という不安がありました。

こういうのって、 Xみたいな所で仮想敵に「お前頭湧いてんのか?」というような暴力性と紙一重でしょ・・・と正直思いました。

 

※こういう時に体育ばかりがXをメインに敵視されますが、勉強においても同じ事は起きていると思います・・・。特定の科目は・・・徹底的にできなかったので、その痛みは理解しているつもりです・・・。