本来なら発売日きっかりに購入したかったのですが、ちょっといろいろな関係で遅れた状態で、薙沢 ムニン氏のゲーム「淀み海の溺れ唄」をプレイさせて貰いました。
舞台は西洋風ファンタジー寄りの世界で、何か思考も鈍く肉食性で、醜悪な容姿を持つ海魔という存在が、(彼らとは逆に)美しい容姿を持つ人魚や人間たちから迫害されていたんですね。で、海魔の中で例外的に可愛らしい姿をしているギーゼラという名前の少女がいました。ギーゼラは生い立ち上、自分より美しい存在に敏感で、そんな存在を憎悪して襲っては(仲間と一緒に)殺し続けていました。
そんなある日、ひょんな事からギーゼラは岸辺でアイーシャという謎めいた人間の少女が歌を歌っているのを目にします。 彼女の美に思わず惹かれてしまったギーゼラは妬み故に思いました。「この少女を殺して食べてしまいたい」と・・・。
本作に横たわるルッキズムはあくまでも表層的なものです。ギーゼラはアイーシャがおかれていた苛烈な身の上を知り、自分の羨望(美という概念)が自らを抑圧していた悪に起因する事を理解します。それは自分と同じ海魔にも向けられてきた差別の目であり、今まで近視眼的で利己的な目的意識に囚われていたギーゼラがとった行動は・・・。
こうした「人外もの」で現実の社会問題をトレースするような話は結構あり、本作もその一つだと思いました。 ですが、ラストで安易なカタルシスや勧善懲悪に纏めず、切ない余韻を残すやり方は、やっぱり薙沢氏らしいなと感じました。
ここら辺で、ただ社会のセンシティブな問題に悪乗りしたり加担するような、どうしようもない作品も色々ありますが、多少傷ついてでも人に向き合い、倫理的判断に臆してはいけない強さを、エモーショナルな流血とバイオレンスで表現している真っ当さは、やっぱり買ってよかった作品だと思わせる一因となっています。
ですが、やはりちょっと引っかかった所がありました。 これは同氏のフリーゲーム「LivingDead*Magic」でも感じたことですが、屠畜という(それこそ)センシティブな職業を出さない方が良かったのではないかと思います。やっぱり、キャラクターの残虐性と比較すような描写は要らん風評や誤解に繋がるんじゃないか・・・みたいな懸念があって・・・。