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2020年2月15日土曜日

消された少女

R県Y市の美大に通う学生Hが行方不明になり、その三日後、大学付近の雑木林から彼女の遺体を撮影したメールが、大学に送信された。遺体は全身を滅多切りにされており、全ての目玉がくりぬかれていた。
そして、Hが連れ去られた現場付近の監視カメラで、不審な動きをする車が写っていたことや、大学に送られてきたメールが、犯人のPCに転送されていたことがわかり、Hと同じ学科に通っていたDという学生が逮捕された。

「いいですか、これは理不尽な社会への怒りですよ」
と、取り調べの時に、椅子に拘束されたDは口をとがらせていった。
「僕はこれまで、画家として認めてもらうために、ずっと努力を重ねてきました。なのにあの女は三眼症であることを利用し、実力もないくせに口八丁で荒稼ぎしていたんですよ!この悔しさがわかりますか?」
「・・・・・それが、Dを殺した動機だったんですね?」
と、先輩刑事のオカさんが、静かにいった。
「じゃあ、なぜ遺体を滅多切りにして、目玉をくりぬく必要があったんですか?」
しばらく、Dはだまっていたけど、うっすらと笑いを浮かべていった。
「そうした方が、あいつを甘やかす大人達や、Hみたいにせこいことやって、得をしようとする意識の高いクズどもへの警告になると思ったからです」
そのとき、私は思わず立ちあがり、掌をDの頬に振り下ろしていた。
「いったい、何をするんですか!」
「あんた、一番許されない特権を使っといて、何を被害者面してんの!?」
と、私は叫んだ。オカさんが私の肩をつかんで落ち着けって叫んでたけど、私はかまわずいった。
「あなたは殺人をもって、正義感面した復讐者を気取ってるようだけど、あなたなんて、勉強できないからといって名門小学校の子供を刺し殺し、異性にモテない上に金がないからといって歩行者天国にトラックを突っ込ませる・・・・・・つまり、弱い自分を甘やかしてるだけの、つまらない存在なんだよ」