映画化もされた小説『きみはいい子』を読みました。
児童虐待が題材ながら、残酷シーンを強調せず、童話のようなシンプルで優しい文体が心に残りました。特に印象に残ったエピソードは、『べっぴんさん』と、『うばすて山』です。
『べっぴんさん』は自身も虐待の被害者である母親が、自分の子供にも虐待を加えるのですが、最後の主人公に対するはなちゃんママの言葉は、自分も泣きそうになりました。虐待シーンは書き方がすごい事務的なので、余計に生々しかったです。
『うばすて山』は同じく虐待の被害者である雑誌の編集長が、認知症になった母親をあずかるのですが、抑えられたタッチで書かれている分、虐待された人間の怒りがひしひしと感じられました。
後半に、主人公は不登校になり、出席日数が足りなくなってしまうのですが、担任の先生の対応は考えさせられるものがありました。あれを善意ととるか、不正ととるか?どっちみち、先生には糾弾される覚悟があっての上だったともいました。
たぶん、教え子の将来のために身銭を切るつもりだったんだろうな・・・。