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2024年11月3日日曜日

例えそれらを入れなくとも

 最近、ちょくちょくイラストを描く際の参考資料として、あんびるやすこ氏の児童書を読むことがあります。『なんでも魔女商会』シリーズとか『ムーンヒルズ魔法宝石店』シリーズとかです。女の子や小物(アクセサリー類)の描き方が、めっちゃ上手くてメンタルが折られそうなくらい・・・で、すごいロングセラーなわけですよ・・・。あんびる氏の作品は・・・。ハードカバー作品であれなんですよ・・・?

で、どれを読んでみても、なんか物語が落ち着いたタッチで安心できるんですよね。静かな喫茶店にいるような気分で・・・。

確かにメッセージ性はあるものの、 大人の立場で不正や悪意などへの説教や(その辺から)仮想敵を糾弾したり、どぎついだけの(いじめや差別等に対する)問題提起など、独りよがりに堕しがちな部分を敢えて排除しているからこそ、子供のニーズに応えられたのだろう・・・と思います。

宮崎 駿氏は『本へのとびら』という新書で、「子供に向かって絶望を説くな」と書かれていますが、上記のシリーズを読むたびに、そうした理念の真摯な実践みたいなものを感じられます。敢えていえば、原発事故や新型コロナウイルスのパンデミックが存在するからといって、そこに大人の怒りや心情が優先されている限り、それがメディアとして子供に提供されることが正しいこととは限らないでしょう。寧ろ、子供にとって有害(&心理的暴力)であるとすら感じます。この公開日記ではちょくちょく書いていますが、闇バイトや裏金議員、反差別や反権力などをお粗末な形で道徳的感情に訴えるエピソードとして祭り上げ、※自分が正しい側にいるアピールをSNSでしている児童書作家を何人か知っていますが、まさにそうだという思いです・・・。

だからこそ、子どもの発達段階にあわせて配慮したり、優しくしたりすることは一部の(特にネットで評論家を僭称する無責任な)界隈から偽善とか甘やかしだと捉えられるフシがありますが、前者の目線で健全な情動や感性を育むことを、寄り添うように描ける作品は歪んだ個人主義や身勝手な生きづらさなどを大人の都合だけで振りかざしてる作品より遥かに強いと、私もそんな心情に絆されている分、素直にうなだれるしかないのです・・・。