いよいよ、あやしの保健室シーズン2完結ということで、最終巻は人類存亡が絡んだ結構なスペクタクルみたいな話・・・になっていました。
ただ個性的なイラストのインパクトに甘んじず、リアルな子供の悩みや問題へと誠実に向き合うスタンスは健在で、 今回も結構刺さる話は多かったです。
ここで個人的な話になりますが・・・東日本大震災とコロナ禍を経てから、結構生きづらさとかマイノリティーの苦悩みたいなものを題材にした児童書が増えてきたな・・・と思います。アイデンティティ闘争めいた何かというか・・・。
本作も「協調性」とか「みんなといっしょ」みたいな結束が批判的に取り上げられているわけですが、私としては敢えて、「協調性」とか「みんないっしょ」の味方でありたいと思います。確かに、そうしたことが差別や格差(に声を上げること)などの問題をの矮小化することとして機能することは否めませんし、ネットの逆張り冷笑系の論客がしばしば使う手段でもあります。
ですが、社会がきちんと維持される為には、ある程度「協調性」に基づく「正しさ」や「規範」が必要とされるわけで、それらが揺らぐ事態があるからこそ、いきなり疑念を押しつけるような形ではなく、どうして「正しさ」や「規範」を守らなければいけないのかを(子供達に)説くことも重要ではないか・・・と思う次第です。それらがなきゃ、ヒャッハーな世界になるわけであって・・・。
「お互いを認め合い、尊重する」というのはあくまでも大人だからこそなせる世渡り術の一部であり、「ルール」や「義務」の功罪がまだ理解できていない子供にいきなり(これは色々覚悟の上で書きますが)大人の論理で体制に責任転嫁して、自由や権利の行使を教唆することは一種のトレンドになっている感がありますが、そんな善意は子供に対していくらどんな形で手渡されていても、歪んだ個人主義の敷衍にしかならんのんじゃない・・・?と考えています・・・。