最近、(岩波新書の『ルポ 貧困大国アメリカ』シリーズを読んだついでだし、比較的集英社新書は他の新興新書レーベルと比べると、結構治安がいいので)堤 未果氏の『堤未果の『素晴らしい新世界』:スマホで赤ちゃんを注文する日』を読みました。まぁ、生命倫理に照らし合わせた上で、結構グロいっちゃぁグロい事が色々暴露されてて、興味深かったんですけどやっぱり重い衝撃として残ったのは、安楽死を扱った4章ですよ・・・。
特にカナダで、(人の生き死にを他者が決めるという)そこら辺でマジギレすべき左派すら「個人の自由」とか「権利の平等」とかいった美辞麗句で死ぬ必要のない人すら死に追いやる事に諸手を挙げて賛成し、貧困層が安楽死の申請にまで追い込まれるような現状は、何か左派版T4作戦じゃないのか・・・?と感じたりもしました。
こういうの、新型コロナのパンデミックに基づく混乱が始まった2020年代初めに、都合よく肉体労働者や貧困層をダシにして政府(とその対応)を腐しながら、その口で「個人の解放」だの「働き方改革が推進されてよかった」だのと脳天気にいい放った反権力層を想起させるというか・・・。語弊がある事は十分承知ですが、やっぱりそういう世間を知らない理想論が、結果として当事者を抑圧している事に気づきもしない事という点では、共通点はあるかと・・・。
話がずれましたが、ここで本題に戻ります。こういう話になると、やっぱり「科学的正しさ棒」を持った人達が、「医療技術の進化に水を差す生命倫理学者VS理知的で真っ当な判断を下せる私達」みたいな二項対立で、藁人形論法を多用しながら反論してくると思いますが、本書は今の情報社会と癒着した医療技術が一線を超える様についてはかなり痛烈な告発はできていると思います。
ですが、やっぱり全体的に堤氏の危機感や怒りが前面に(そして情緒的に)出すぎて、上に書いたような逆張り系論客の攻撃に対する耐性や反論というと、ちょっと弱い部分はあるかな・・・?と思うので、そこら辺のカウンターも少しは欲しかったな・・・と正直思いました・・・。 じゃないと、ああしたIDW崩れみたいな層から「ホラ、やっぱり左翼のせいで死ななくていい人間が死ぬ事を防げないじゃないか!」みたいになるリスクがあると感じるので・・・。