(一部加筆修正しました)
一時、ロストプラネットというゲームの設定資料集を持っていたことがあります。そこで、スタッフのインタビューが収録されていて、(ゲーム中の惑星で)平和に暮らしていた原住生物のAKを迫害することがいいのか?問題提起がある・・・みたいなコメントがありました。で、最近Xで外来種の観察会で子供にアメザリやミシシッピアカミミガメを殺させたり、子供が「駆逐してやる!」と叫んでアメザリを踏み潰すことがあるというポストを見て、VSで蹂躙されるAKを思い出した訳です。生き物をガトリングガンやロケットランチャーを搭載したロボット兵器で叩き潰していくのはゲーム中の絵空事だから許されるけど、外来種を面白半分で殺すような子供達はそんな感覚だったんだと思います。
前置きが長くなりましたが、そんな所から、『野生動物は「やさしさ」だけで守れるか?』という本を読みました。まあ・・・上に書いた子供達がアメザリを殺す件が書いてあったので・・・。本書は「外来種でも殺すのは可哀想じゃない?」といった、私達のような部外者が誰でも抱きがちな情を否定し、心を鬼にしてでも駆除しなければ自然環境が守れない現実や、当事者が抱える葛藤が淡々と書き連ねられています。ですがそこは岩波ジュニア新書で、(それこそ他の新興新書レーベルがやりがちな)一般良識(と稚拙な感情論に基づき駆除に反対する人)をネット受けする敵意で論難したり、そういうところからリアリストぶりながら排他的な優越感に酔うような表現が一切ないのが良かったです。寧ろ、「かわいそう」という感情を持つことにも一定の理解を示しながら、安っぽい論破ではない現実の重みと(想定される)読者層に対する思いやりを感じられる1冊でした。
そして、Xのポストの話に戻りますが、子供が生き物(虫とか魚とか)を遊びで殺してしまうことはしょうがないと思います。私だって同じ罪を抱えてますし。だからこそ、この文章で紹介した本に登場した外来種を駆除する大人達が有している、社会的責任や倫理観が育ち切っていないのは当たり前のことで、大人がそうした行為を推奨するのは問題だなと・・・。
まあ・・・こうした所の逆張りから、子供に何をやらせようが自由だという話は、一部の意識高めの層に受けそうな感じがせんでもない・・・。