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2025年11月30日日曜日

コミカライズ系の話

 まぁ・・・私の中ではバイブルとなっている川名 壮志氏の『謝るなら、いつでもおいで』(集英社のハードカバー版を持っています)なのですが、ちょっと気になる事がありまして・・・。

うーん、何ていうのか・・・かなりデリケートな話だし、他人の事情を知らずに「いっちょ噛み」してもいいのかという葛藤を抱えながらになりますが、川名氏が最近、新潮社をメインに活躍されているからか、同社の漫画ウェブサイトであるバンチKaiにて、『ひみつ―佐世保事件で妹を喪ったぼくの話』という作品が連載を開始するというニュースを目にしました。そう、川名氏の『僕とぼく:妹の命が奪われた「あの日」から』のコミカライズです。

・・・ここからは、もしかすれば、あの事件におけるすべての関係者を傷つけ、敵に回してしまうかもしれないという覚悟で書きますし、まだ配信開始もされていない時に・・・とは思いますが、私は今までスキャンダラスなノンフィクションをコミカライズ(で知名度を更にアップさせる)するような、新潮社関係の商法を見てきたので、あの事件のセンシティブさを考えれば、「そんな方法で商業展開するのか・・・」という思いが、正直拭えませんでした。勿論、『謝るなら、いつでもおいで』や『僕とぼく』が大衆受けの為に事件を面白おかしく暴露していくような内容ではないのは百も承知だし、多分作画担当の漫画家さんもそこはきちんと守っていかれるような表現で連載されると信じています。

ですが・・・やはり、事件の御遺族から許可は取っているのでしょうが、被害者遺族のお父様や二人のお兄様の事を考えれば、あんな商業的な形で明確に露出させてもいいのか・・・と正直感じます。だからこそ、『謝るなら、いつでもおいで』で事件に関わってしまった人々が、川名氏に対して全てを賭すような覚悟で話した事の重大さを、絶対に裏切るような事がないようにして欲しい・・・そう願っています。殺されたのは実際の事件における生身の人間(しかも子供)なので、単にキャラクターとして扱うような失礼が無いように・・・とも思います。

こんな事・・・ 誰かを殺された経験もない第3者がいう事の方が傲慢だという自覚は痛いほどありますし、自分だって表現者として人を傷つける力はかなり有していますが、やっぱり『ケーキの切れない非行少年』とか『でっちあげ』みたいな話を見ていて、ちょっとうっすらとした不信感があったので・・・。