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2020年3月21日土曜日

グリフォンという小説

自分が好きなサスペンス小説の一つに『グリフォン』があります。
女性ばかりを狙って首を持ち去る殺人鬼「グリフォン」と、そのターゲットにされた女性の死闘が描かれるのですが、ただのサイコキラーものではなく、それぞれの人間模様とか人生観が書かれていてなかなか深い小説です。
例えば、グリフォンを追う刑事は、努力の末に若くして出世したエリート刑事なのですか、グリフォンの犯行に胸を痛め、悪に対して憤る人間臭さがあります。特に、犯人から犯行の様子と声明を録音したテープが送られてきて、証拠集めの為に嫌悪感を露にしながらもテープを聞くシーンは、刑事の常識人ぶりが出ていてすごくよかったです。

で、犯人のグリフォンなんですが、彼は自分が過去にいじめられっ子だったということや性的コンプレックスを解消するために、若い女性を狙って殺すようになります。しかも、殺す際は自分の生きる希望をいわせてから殺すという悪質なものです。
ですが、グリフォンは近い将来に自分が神格化され、彫像だって街に建つだろうと思っています。そして、自分は「殺人」という生と死を操る力を持っており、人を一瞬にして殺せるから7日間かけて世界を作った神より偉いと発言してるのです。はい、死亡フラグ確定ですね(笑)

(ここからネタバレになるようですみませんが)それから、グリフォンは自分がやってきたことと同じように死んでいくんですが、『グリフォン』に限らず、こういう人を殺して偉くなろうとする人に因果応報なラストを与える小説や漫画ってありますけど、「そんなんで偉くなれるほど世の中甘くないよ」という作者のメッセージが聞こえるようです。

最近読んだ漫画『ジゴサタ』でも同様のシーンがあったことを思い出しました。切り裂きジャックのエピソードです・・・・・・。