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2021年12月5日日曜日

波がついてきた話

 中学生の時に、『ぼくのうちに波がきた』という絵本を読んだことがあります。

海水浴にいった主人公の少年がなんと、海の波を連れて帰ってしまうという内容で、波は少女として描かれています。で、最初は一緒にダンスをしたり、おしゃべりをしたりと楽しい生活が続いていくのですが、波は天候によって機嫌がコロコロ変わる上に、季節が移っていくにつれ、どんどん性格が豹変していき・・・最後はまあ、そんなに都合よくはいかんなという感じでした。それにしてもこの少年は懲りんなと・・・。

そして、この絵本は訳者あとがきで『波と暮らして』という小説が原作だと書かれてあったので、ずっとその存在が気になっていました。で、学生時代にちょっとそれを(『ラテンアメリカ怪談集』に収録されていました)読んでみました。絵本の方では波そのものが描かれていましたが、原作の方はイラストがなく、大人向けの表現もあったので、なんかスライム娘っぽいものを想像してしまいました。絵本だからこそ、ある程度平和的な解決でラストは結ばれていましたが、原作で主人公は非常に身勝手で残酷な仕打ちをします。あれほど「愛は遊戯であり、永遠の創造だった」といってたのに(怒)

それにしても、こんな官能的で奇想天外な話を、よく子供向けの媒体に落とし込めたものだなと思っています・・・。