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2022年8月6日土曜日

『あの子のことは、なにも知らない』を読みました

 『ドローン・オブ・ウォー』という映画のラストでは、最後に軍隊という組織の理論に反し、主人公が自分の正義で行動するシーンがあります。子供の貧困を扱った児童書『あの子のことは、なにも知らない』でも、最後の主人公の行動がまさにそれかと思いました。社会の敵に対してミサイルを発射したわけじゃないですけどね。

なんか、主人公の住む地域の中学では卒業祝賀会で親を招待し、スライドショーで使うために子供の時の写真と、親への感謝の手紙を持参しなければなりませんでした。で、その実行委員の美咲ちゃんはひと月ほど前に転入してきた問題児、和也君にずっと目をつけてました。なぜなら、和也君は教室でキレて暴れる上に、卒業祝賀会で使う写真も手紙もずっと持ってきて来なかったからです。

もう期限は迫ってるんだからグズグズせずに早くしろと迫る美咲ちゃんですが、そんな中、和也君の真実に気づいていき、今まで当たり前だと思っていた世界に疑問を抱き・・・という内容ですが、できないことを本人の甘えと片付けて、それ以上何も考えなくていいで済ますところに一撃を下すような展開が、印象深かったです。

でも、学年主任の前田先生とか美咲ちゃんのお母さんを絶対的な悪役とせず、どっかで和也君と同じように理解を誘う相手として描いていたのもよかったと感じました。そこで前田先生もお母さんも(ステロタイプな)自民党かぶれの悪として一方的に糾弾していれば、それこそ現実感のない話になっていたと思いますから・・・。

そして、親父といわれる人の口から語られた真実を読んだとき、私は本当に泣きそうになりました。本を読んで泣きそうになったの、久しぶりだし・・・。