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2022年1月29日土曜日

ありがたく思えという話

『僕は王さま』シリーズで有名な児童文学作家の寺村 輝夫氏ですが、寺村氏の作品の中に『アフリカのシュバイツァー』という伝記があります。知っての通り、アフリカで多くの原住身を救ったとされ、「密林の聖者」と称されるアルベルト・シュバイツァー氏をテーマにした作品ですが、ヨーロッパからの侵略と差別に蹂躙されたアフリカ史とあわせて、そうしたシュバイツァー氏の「善意」ですら白人中心主義で、こうした差別感に基づいているということが、情け容赦なく暴かれていました。

基本的に伝記というのは相手を褒めるのが普通で、こうして相手のことを批判的に紹介した作品って、あんましないだと思います。その分『アフリカのシュバイツァー』はなんか印象に残りました。

で、こういう所で、なんか「こっちは善意でやったんだから、その分ありがたく思え」という主張ってあると思います。『アフリカのシュバイツァー』みたいに「お前らは何もわかってない黒人だから、文明人である白人のいうことを、素直に聞きゃいいんだ」みたいな。

話は変わりますが、ちょっと前にも、ある球団が北海道の駅の広告に「北海道は、開拓者の大地だ」という広告を掲載し、そこに北海道アイヌ協会が抗議し、広告が撤去されたことがありました。で、その後にあと、あるブログで「アイヌには開拓者への敬意がないのか?悪意があると解釈されたら、何も言えない世の中ってどうなの?」という趣旨の主張がされていました。ポリコレ的な話はともかく、アイヌは開拓者に敬意を払うべきだという考えに、ちょっと衝撃を受けたわけですが・・・。

でも、そういう系の話にきちんとした反論もあり、ホっとしました。

まあ、善意があるからって、色々通用するわけがないし、色々と複雑な問題だとは思います・・・。