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2023年9月24日日曜日

『杉森くんを殺すには』を読みました

 『杉森くんを殺すには』という児童書を読みました。

物語は、主人公のヒロが突如友人の杉森君を殺そうと決意するところから始まります。

で、ヒロは兄のミトさんにそのことを相談するのですが、ミトさんのアドバイス通りにヒロは殺意の理由をリストアップしていきます。

タイトルだけ見れば、本作はかなりインパクトがありますが、読んでみれば単に過激性を狙った作品ではないことがわかります。そういうところから、単なる良識や理性に対する逆張り的な作品が霞むほどの、切実な主張をこの作品は有していました。特に、ラスト近くで漠然としていた杉森君の正体が明らかになった時・・・殺意でしか表現できなかったヒロの重たい想いが、こちらにも伝わってくるようでした。

だからこそ、ヒロの状況を見て「これだから心の病を患った奴は・・・」みたいには結論づけんで欲しいと思います。こういうことを(ネットの流言に諂うような形で)差別的に描く漫画やラノベってあると思いますが、本作はそれとは正反対の姿勢で描かれているので・・・。