カテゴリ

2023年9月30日土曜日

『波あとが白く輝いている』を読みました。

 『波あとが白く輝いている』という児童書を読みました。

東日本大震災を題材にしているのですが、知らない人にそれを教えるという使命感が先行しすぎて、ショッキングな描写を相手に振りかざすように多用してないのがよかったです。(当時1歳だった)主人公が殆ど当時のことを知らないからといって、3.11の記憶を衝撃や恐怖として殴りつけるような書き方ではなく、あくまでも穏やかなまなざしで向き合わせているので、恐怖だけが残らないようなタッチになっています。

東日本大震災だけではないですが、色々と相手のことに対する想像や共感を育むには「余裕」や「段階」というものが個人的に必要だと感じています。

ですが、子供むけのメディアでは東日本大震災に限らず、戦争やテロなどでも現実を控えめに書くことを偽善やごまかしとして退け、(それ自体は当然なのですが)凄惨なインパクトとして相手の記憶に植え付けようとする作品が多々見られます。こういうところから、配慮や不安への(本来の意味での)忖度があっても・・・と思うのです。

まあ・・・被災者でもない自分がこんなこと書いちゃいけんな・・・と思うけど、色々な思いがありますからね・・・。