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2024年4月25日木曜日

帰ってきたゼロ戦

 砂田 弘氏のSF児童書に『帰ってきたゼロ戦』という作品があります。

(当時から近未来の世界として)深刻化する公害に苛まれる1990年の日本に無人のゼロ戦の大群が現れて、迎撃に向かった米軍や自衛隊は壊滅させられます。

そして、こんな社会を作るために殉職したのではないということで、大人達はゼロ戦たちに連れ去られ、ゼロ戦達の庇護(電車とか配送用のトラックは、無人で動いている)のもと、彼らに未来を託された子供達だけが日本に残されることになりますが、私は作中のメッセージとあとがきを読んで、とある絵本を思い出さずにはいられませんでした。

まあ・・・前にもちょっと(間接的にイラストも交えて)書いたことはありますが、とある戦車を擬人化した絵本があり、復刊ドットコムで多くのリクエストを得て、再び書店に並んだことがあります。あとがきやストーリーを読むにあたり、正に『帰ってきたゼロ戦』で砂田氏が向けていた皮肉が、ある程度現実になっているなと思ったのです・・・。

一応、表面上は戦争は悲惨だという形式上の教訓がアナウンスされていますが、やっぱりレビューやあとがきを読むと、戦争責任みたいな物から目を逸らし、ただアメリカという大国と命を懸けて戦ったご先祖様に対する感動の念・・・みたいな話じゃないかと感じて・・・。

被害の記憶ばかりを、子供の情に訴えて伝承するやり方も問題だとは思いますが、あの絵本が復刊される位多くの支持を得た、ということも結構な事態だったと私は考えています。

だからこそ、『帰ってきたゼロ戦』で、大人を奪われた子供達が下した決断やその状況が、絵空事では済まされないものとして迫ってきているというか・・・。