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2024年7月24日水曜日

「シモーヌ」を観ました。

 初音ミクの予言ともいえる映画「シモーヌ」を観ました。ですがこの映画は、バーチャルアイドルということを隠して、本物の女優だということで話が進んでいきます。

で、落ち目の映画監督がひょんなことからバーチャル女優のプログラムを収めたHDDを受け取り、 必死で現実をごまかしながらマスコミやタブロイド紙の追及を切り抜けていく様が、結構シニカルに描かれています。

それから、寧ろ作品制作の阻害になっているクリエイターのプライドというエゴイズム、ハリウッドスターとして天狗になり、特権意識を拗らせた出演者、(多分、『アーティス子症候群』という本でも指摘されていたように思えますが)芸術性という言い訳で、作品がどうだろうが何でもそういう文脈で感動する評論家、演技ではなく俳優のプライバシーを暴くことばかりに血道を上げるメディア等、創作の絡んだ産業を巡る問題に風刺の目が向けられています。ですが、それが問題提起の度を越した悪意や害意で描かれておらず、寧ろ洒落たタッチで描かれているので前者のような、ただただ暗い気持ちになるようなことは一切なかったです。

なお、ラストは「レミーのおいしいレストラン」を思い出しました。

虚像のバーチャルアイドルを巡るドタバタ劇は、今の生成AI問題を見ると、何かドキッとするものがあります・・・。